虫歯の要因には4つのファクターがあります。それは歯質、細菌、食事(虫歯にとっての栄養)、時間です。この中で案外見逃されがちな要素が時間です。
口の中でミュータンス菌などの虫歯原因菌がプラーク(歯垢)を形成し、これらの細菌が、食べ物の栄養(糖質)を分解し酸を作ります。そして、この酸が歯の主要成分であるカルシウムやリン酸を溶かします(脱灰)。
それでも、カルシウムとリン酸を豊富に含んだ唾液がミネラルを補給(再石灰化)するため、通常はこれでバランスがとれます。
ところが、この脱灰と再石灰化のバランスがくずれる場合があります。糖分の多い食べ物を頻繁にとると酸性度の高い状態が長く続き、虫歯になりやすくなるのです。これは1日の飲食回数が多い場合も同じ状態になります。
虫歯のなりやすさは一人ひとり違います。
「歯の質が弱い」、「口の中に虫歯菌が一定量以上いる」、「食べカスがある」この3つの要素が揃ったまま、「時間が経つ」と歯が溶け出すのです。
ですので、虫歯を予防するには「なりやすさの」条件の輪を1つずつでも外していけば良いのです。
| 虫歯予防 5ヶ条 |
| 〔1〕 | 強い歯を作る |
| ビタミンやミネラルが豊富な野菜類、カルシウムを含んだ乳製品、小魚などをバランスよく食べる。 | |
| 〔2〕 | 正しいブラッシング |
| 「磨いているつもり」ではダメ。 | |
| 〔3〕 | 良く噛んで食べる |
| 唾液の分泌が活発になる。 | |
| 〔4〕 | 間食をしない(ダラダラ食べない) |
| 間食後の歯磨きは忘れがち。 ジュース類にも大量の砂糖が含まれていて、歯の隙間に残る。 |
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| 〔5〕 | 歯科検診を受ける |
| 痛くなくても、定期的に歯科医院へ行く。 |
子供の歯(乳歯)のエナメル質は柔らかいので、大人よりも進行は早く、ちょっとの間にも驚くほど悪化します。「そのうち生え変わる歯だから」と軽く考えるのは間違いです。
せっかく生えてきた大人の歯(永久歯)も、隣の虫歯菌にやられてしまう恐れがあります。また、不規則に乳歯が失われると、永久歯の歯並びも悪くなりがちです。その結果、歯周病を始めとする様々な疾患を誘発させたり、容貌にも影響しますので、早い段階での注意が必要です。
子供の虫歯を予防するには、砂糖を控えることが一番。あとは食べたら磨くという歯磨きの習慣を身に付けることです。
小学校の低学年くらいまでは、子供だけでは磨き残しが多くあるので、親が仕上げ磨きをしてあげてください。ただ、嫌がる子に無理矢理するともっと嫌がるようになります。子供の頃は唾液が多く分泌されるので、あまり神経質にならず、だんだん慣らしていくぐらいに考えましょう。
フッ素は酸によって溶け出したカルシウムやリン酸の再沈着を早めます。それもフッ化リン酸カルシウム(フルオロアパタイト)という酸に溶けにくい物質に帰る働きがあります。
そのため、虫歯予防にはその他にはフッ素入りのうがい薬を使うのもいいです。睡眠中、唾液の分泌は極端に減ってしまうので、夜には歯を磨くだけでなく、フッ素入りのうがい薬でブクブクしてから寝るようにすれば、より効果が上がるでしょう。
唾液は噛むことで分泌が促進されますから、ガムを噛むのは良いことです。
ただし、これには「糖分を含まないもの」という前提条件が付きます。特におすすめしたいのは、再石灰化を助ける成分の入っているガムやキシリトール入りガムです。キシリトールは、虫歯菌のエサとならないため、プラークも酸も産出されず、さらに虫歯菌の増大を抑制する効果も期待できます。
虫歯菌は元々、赤ちゃんの口腔内には存在せず、家族(特に母親)による食べ物の噛み与えやスプーンの共有などで、唾液を介して感染します。
2歳までに虫歯菌に感染すると、その後の発症や重症化の可能性が高くなると言われています。
また、妊娠中のお母様方の時期から虫歯予防も大変重要になります。妊娠中から口腔ケアを行うことは歯周疾患による早産、低体重時出産のリスクが減るだけでなく、丈夫な赤ちゃんの出産や子供の虫歯予防につながります。お母さんのきちんとした口腔ケア習慣は、母から子に伝達されるため、妊娠中からしっかりと口腔ケアをしましょう。
一旦、歯に蓄積されたカルシウムが再び体内に取り込まれることはないので、妊娠したから歯が弱くなるということはありません。
ただ、つわりや育児で口腔ケアが十分できなくなり、妊娠、出産で虫歯となる方が多いようです。また、口腔ケアができないことで歯周炎になるなど、歯周病になる方も多いようです。妊娠の可能性のある方は口腔内検診や歯周病の検査をして予防、治療をおすすめします。